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図案の特徴
各地で異なる作風と図案
剪紙は、歴史上の人物、風習、言い伝え、生活風景などを図案にします。中国は多民族国家で、広大な国土を持っているので、自然条件はもちろんのこと、風俗・習慣なども各地によって大きく異なります。
そのため剪紙の題材や作風も、各地方によってそれぞれ異なり、独特の風格と特色があります。
最近では、きわだった特色がうすれてきているものの、今でも中国の人は「北方」と「南方」で性格が違うというだけあって、剪紙の作風も大きく分けられます。

まず北方の剪紙で、代表的なのは「陝西(せんせい)省」「甘粛(かんしゅく)省」「山西(さんせい)省」「山東(さんとう)省」「河南(かなん)省」など。また刻紙が主ですが「河北(かほく)省」も。私が好きな民間剪紙は、これらの地方が盛んです。

南方の剪紙は、「安徽(あんき)省」「江蘇(こうそ)省」「浙江(せっこう)省」「広東(かんとん)省」「福建(ふっけん)省」「湖北(こなん)省」「四川(しせん)省」などです。安徽省の紙は良質のようです。

このほか、私は内蒙古(内モンゴル)の剪紙作家の方に1度教えていただいたのですが「毛毛(まおまお)」とよばれる、本当に毛のように"ふさふさ"した感じの細かい剪紙を作ります。少数民族の剪紙も特徴があり「貴州(きしゅう)省」の苗族の剪紙も有名です。
【北方の特徴】
主に牛・馬・羊・らくだ・ロバ・犬・猫・虎・鶏など動物を題材にしたものが多いです。また人々の働く姿(堆肥づくりや取り入れの場面、騎馬など)を扱ったものも作られています。しかし、花や風景などを題材にしたものは、南方に比べて少ないです。
 北方の剪紙は、荒削りで単純ですが、素朴で力感にあふれています。題材の形や特徴を簡潔に表現する手法が一般的に好まれています。
【北方の特徴】
主に花・鳥・蝶・昆虫・魚などを題材にしたものが多いです。 それは、気候が温暖で、湖が多いという自然条件が影響しています。 この他には、風景・建物などもよく題材にされます。
南方の剪紙は、構図がととのっていて装飾性にとみ、かなり写実的です。
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誇張とデフォルメされた図案は、優れたデザイン!
剪紙はモチーフに「誇張」や「デフォルメ」を施します。

剪紙の図案は、見たままを追求しているわけではありません。西洋絵画のような「写実性」はなく、私は絵画というより「デザイン」という方が、しっくりくる気がします。おそらく刺繍の型紙などに用いられ、発展してきたので「図案性」が大事なのかと考えています。

また剪紙の特徴のひとつに、図案に施された独特の装飾がありますが、その装飾紋様ひとつひとつにも意味があったり、それぞれのモチーフを組み合わせて、作品の中に寓意や作り手も想いも表現したり、一目見て何を言ってるのか分かるので(外国人には難しいですが)、やはり優れたデザインと言えるのではないでしょうか?

長い間、自分の暮らしていた村から出たことがない人が、初めて動物園で虎をみて、逆に虎の剪紙を作れなくなったという話を聞いた事があります。それまで観念の中で「虎」を捉え、その形を膨らませてきた想像力にすごさを感じつつ、どんな物も自分の目で直接見れるような時代になって、この先「民間剪紙」は、どのように変わっていくのだろう…と考えたりします。

これは蛇の中に兔がいるんですが、
蛇のほとんどは装飾で何が何やら(笑)

これカエルです。
こんなディフォルメされてて
カエルと分かるのは、すごい!
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図案を構成する上で、大事なこと
実際切るときに意識しなければならないのが
まず「アウトライン」。これは、形の輪郭の事です。どんな作品も図案には各"かたち”があるので、物体の輪郭を捉えなくてはなりません。
次に「透かし彫り」これは陰陽にも関係するのですが、剪紙は、紙に図案を「切り出す」平面造型芸術なので、空間と面が生じます。このバランスを考えなくてはなりません。
そして「連結」。連結部分がなければ、バラバラになってしまいます。この点が、いわゆる「切り絵」と異なるところなんですが、この連結部分が自然でなければなりません。




これらは、剪紙に限らず中国の伝統的な造形芸術に共通する点です。今後、「剪紙の作り方」も紹介するので、詳しくはその時に、ご紹介したいと思います。


さて「技術」面以外に、もう一つ「観念」として必要となってくることがあります。

剪紙は、折りたたんで対称の図案をよく作ります。この時に意識として、2つ折りは「陰陽」「天地」「雌雄」を、四つ折りでは、「四季」「四方」などを、3回折ると「八卦(はっけ)」になり中国独自の考え方が生まれます。風水をしてる人は、よく分かるかもしれませんね。

また図形のひとつひとつに意味があり、その図形の中に文化哲学・符号が含まれています。「シンボル・象徴」というと分かりやすいのですが、象徴として使われる「物象」の捉え方が感覚ではなく、もっと不変的な決まりがあるように思います。

剪紙を自分でも作り始めたとき、自分が「可愛い」と感じる模様や図案をイメージし組み合わせていたのですが、先生から「あならしくて良いが、剪紙としては間違っている。この鳥には牡丹の花を組み合わせなければならない。」など教えてもらい、民間剪紙の中には「不変的な価値観」があることを知りました。

また「ハサミで切る」民間剪紙は、瞬時に形をとらえ、頭の中で図案を構成しなければなりません。自由に手を動かし、下書きに囚われる事がない反面、実はかなりの判断力と決断力が要り、自由であって自由でないという矛盾を感じます。

ただこれらの制約が、逆に想像力を高め、独自の美学観念を作り出しています。
そこが私が剪紙に感じる「魅力」となっています。

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